5分でもできる!iFixit翻訳ボランティアで英語力とライティング力をアップ

私が最近ハマって楽しんでいるiFixitの翻訳ボランティアというのをご紹介します。
iFixitって何?
iFixit社は、修理して使い続けることがエコであるという理念で修理パーツやツールの販売を手掛けている会社です。そして、iFixit社は単にパーツやツールの販売だけでなく、正しくパーツ交換をするための修理ガイドをソーシャルで作成し公開して交流できるサイトを運営しています。ここが従来のパーツ屋さんのスタンスと違うところだと思います。

ifixit.com(日本語)
私は昨年秋までiFixit社がどのような会社か正しく知りませんでした。それまでは「毎年恒例の秋にでるiPhoneの新機種を真っ先に分解してネットのニュースになる解体屋さん。」ぐらい。数年前から自分でiPhoneのバッテリー交換をしており、何度もネットで情報収集した経験があるのですが、それでもそのぐらいの認知度でした。たぶん当時は日本語の修理ガイドの充実度とかでGoogle検索の上位にヒットしていなかったのかなと思います。そして昨年9月24日に、iPhoneの修理について追加の情報がないか検索していたところ、iFixitの日本語の修理ガイドにたどり着きました。
 
オレ、翻訳ボランティアになる
とても洗練された修理ガイドのページに、これまで気づかなかった自分に驚きました。たとえばiPhone 7だと以下のように細かく18ものガイドが整備されています。

各パーツの修理ガイドはすべて統一されたフォーマットで見やすいと思いました。またバッテリー交換のような複数のパーツの手順の組み合わせで成り立つガイドは、ちゃんと個々の修理ガイドが連動しており、同じ修理が異なる手順にならない工夫もされています。

そこで目に留まったのが「翻訳」のボタン。恐る恐るクリックしました。そうすると日本語のページが下記のような英語と日本語の翻訳用ページに切り替わりました。

最初は何も知らなかったので、「えっ?自分で翻訳していーの?ほんとにー?」という感じで、気になるところを翻訳(というか微修正)して保存しました。そうしたら数日後に、なんと自分の翻訳が修理ガイドに反映されている!
 
この体験で初めてiFixitの修理ガイドというのは、世界中のたくさんの翻訳ボランティアの手によって作成や翻訳されていることを知りました。(反映にあたってはiFixitスタッフのレビューが入ります)
上記の画面のとおり、ちょこっとした単位での翻訳もできるのです。
これは「目的を持って英語に接したい」「テクニカルライティングを継続的にしてスキルアップをしたい」という自分の求めていたことにマッチしました。それまでは自分の開発チームのために洋書を部分的に翻訳した経験はあったのですが広く公開されるような文章の翻訳って自分のスキルでは機会は絶望的だと思っていたし、テクニカルライティングもソフトウェア関連は昔に経験があるのですが機会を得るために売り込むのは面倒。でもここなら好きな時に自由にやれる!と思いました。それからランチタイムや仕事帰りの通勤時間にちょこちょこ開始。

これはアカウント情報でみることができる私の翻訳活動の時間帯(UTC-7)。日本時間(+16)で、もろランチタイム、仕事帰り、晩飯の後に傾向がでていますね。

こちらもアカウント情報でみることができる私の時間軸の活動グラフ。12月はプログラミングに時間を割くことが多く翻訳は少なめですが、お正月のお餅もカレーも飽きてムクムクっとデルタが上昇しているのがわかるかと思います(笑)
 
サプライズあり!
翻訳を始めたある日、iFixitの日本人スタッフの方からコンタクトがあり、グッズを送っていただけるとのこと。

ギークなステッカーやTシャツをいただきました。先日はパーカーをいただきました。職場のPCにもステッカーを貼ってしまいました。今度、海外の翻訳ボランティアに見つけてもらえるようにスーツケースに貼ってみようかなと思います。

グッズは大好物なので燃えます!
 
楽しいこと
やってみて勉強になるのが、ソフトウェア開発とまた違う英単語がビジバシ使われている点です。ハードウェア関係ってこんな表現使うのだーと毎回発見がありますし、表現の意図に苦しむ時もあります。苦しむのも楽しい。
プラスネジのドライバーをPhillips Driverと呼ぶのを翻訳ボランティア活動で初めて知りました。昔、海外旅行先で「Plus Driver貸してください」って言って、なかなか通じなかったのはこのせいかーと謎が解けました。このようにDIYレベルで日常英会話でも使うハードウェア関連の英単語もバンバン吸収できます。
最近は最初にフランス語で書かれた修理ガイドを、Google翻訳で英語に翻訳して、それをもとに日本語に翻訳したりする余裕もでてきました。
今年すっごく楽しい体験をしました。ある日、ランチタイムに同時に同じ修理ガイドの翻訳を他の翻訳ボランティアの方としてしまったことです。私の翻訳は5分かけたぐらい捨てることになったのですが、それよりもどこかで同じ楽しみを持って取り組んでいる翻訳仲間がいることが嬉しかったです。
 
翻訳で気をつけていること
翻訳対象の製品のメーカーの商品紹介サイト、取扱説明書の日本語バージョンの訳語を優先しています。たとえばTaptic EngineやTouch IDのような名称。メーカーが英語のまま日本語サイトでつかっているならばiFixitでも継承するようにしています。たとえば、iPhoneの各種サイドボタンの呼び方は新機種でアップル社が変えることがあるので要注意です。
もう一点が、ミスリードしないように修理ガイドに沿って脳内シミュレーションしながら翻訳の文章を組み立てること。たとえばiPhoneの下側と原文に書いてあるときに、それは表面の下側なのか、下側の側面の外側なのか、下側の側面の内側なのかとか。脳内で修理をシミュレーションすると、正確に伝わりやすい日本語を見つけられます。
 
ところでiFixitのパーツや工具は日本で買えないのか?
一部取り扱っているお店はあるようですがiFixitの日本向けネットショッピングサイトは今現在はありません。米国から輸入はできると思いますがリチュームイオンバッテリーの郵送は国際的に規制がかかっているのでそれ以外のパーツや工具までかなと思います。でも、ヨーロッパやオーストラリア向けサイトは立ち上がっているので、今年ぐらいにはと期待しています。
 
どのジャンルの修理ガイドが対象か?
冒頭のiPhoneをバラす会社のイメージで作成や翻訳できる修理ガイドもスマホやパソコンかなと思っていたのですが、なんと服や車まで多岐にわたっています。

服の場合は、ファストファッションのリフォームも公開できると面白いかもしれませんね。
自分の場合は、スマホやPC以外にはオーディオ関係には参戦できそうな気がしてます。
 
おまけ・DOZUKI
実はiFixit社は修理ガイドを共同作成するためのプラットフォームDOZUKIを開発し保有しています。DOZUKIだけクラウドサービスとして提供しているようです。DOZUKIの公式サイト

仕事関係で手順書を作ることがあるので、DOZUKIの日本への展開も期待しています。金融系の膨大な手順書整備とかにいいんじゃないかなー。
 
日本語に翻訳されていない修理ガイドはたくさんありますので、ぜひみなさんも翻訳仲間になってください。