SLAが守れなかったらどうなるの?
ASPやSaaSをやっている企業がしきりに売りにしているのがSLAです。Service Level Agreementの略で、「エスエルエー」と呼ぶのが一般的です。ITILの普及により、謎々のように使われだしてきました。
ASPやSaaS企業の提供するサービスに対して、主に非機能要求についてサービス利用開始前に利用者と合意するというのがSLAです。SLAに含まれる要求それぞれを、SLR(Service Level Requirement)と呼びます。たとえば稼働率99.5%とかです。365日×0.995=1.825日で、ほぼ1年で2日弱しか停止しないというわけです。
ここで安心してはいけません。
SLAは合意であっても、守られるわけではありません!
ぶっちゃけ、1ヶ月に1日落ちそうな不安定なシステムを、「稼働率99.5%です!」とか言って契約し、守れなければ「すみませーん」でもいいわけです。なぜかというと、SLAがあるから大丈夫と思って、SLAが守られない時の記述が契約書に無かったりするからです。
まず稼働率には、保守点検とか、天災・災害がどこまで含まれているかをチェックすべきです。保守点検が含まれていなければ、どのぐらいの頻度で保守点検をするのか確認がいりますし、クリティカルなシステムであれば天災・災害時のディザスター・リカバリ(災害復旧)がどうなっているのか確認すべきですね。
また「SLAが守られなかったらどうなるのか」が契約書に書いてあるのか確認してください。大抵の場合は、利用料以上の支払いは無いのが普通のようです。ある大手ASP企業では稼働率100%に対して料金を設定し、稼働しなかった率に応じて返金するというところもあります。クラウドサービスとして有名なAmazon Web Serviceでは、守られない場合は一律10%しか返金しません。また、このような稼働率によるペナルティは1年の平均で計るので、支払われるのはサービスの提供を受け始めて1年後です。ネットショップのサイトとかだと、返金される前に信用を失墜して潰れちゃうかもしれませんね。クリティカルなシステムには相応なお金がかかるものです。安いからといって安易にホスティングサービス、SaaS、クラウドに飛びつくと痛い目に遭いますよ。
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