スティーブ・ジョブズのゲノム

スティーブ・ジョブズが亡くなって、コレクションを引っ張り出して眺めてみた。
ジョブズ信者でもアップル信者でもないけど、憧れとしてちょっとはコレクションがあるのです。
そこでスティーブのマジックというか魂を垣間見るようなものを見つけました。
「The 1997 Apple MacAdvocate CD-ROM」
このCD-ROMには、ビルゲイツを含む当時のすべてのCMの動画、ハードウェアとアプリケーションのプロモーションビデオ、そしてすべてのハードウェアとアプリケーションのチラシやパンフレットのPDFが入っている。
MacでもWindowsでも再生できるようになっている。
 
どこで手に入れたかというと、米国アップルだ。
当時、車に貼るのが流行ったあのリンゴのウインドウステッカー数十枚とともに営業ツール一式を郵便で直接もらった。
当時のインターネットは、ダメもとで営業マンのふりして頼むと送ってくれたいい時代だった。
 
話を戻すと、このCD-ROMに収録されているファイルのタイムスタンプを見ると1996年で、たぶん1997年はじめにくばられたのであろう。
裏を読むと少なくともMacWorld前に作られている。
っで、スティーブ・ジョブズwikipediaで年表を見てみた。
 
詳しい方はピンとくるだろう。
 
彼のNextStepが、ガゼーのBeOSにプレゼンで勝ってNEXTの買収がまとまったのが1996年末。
つまりこのCDに入っている商品は、「もっともスティーブ・ジョブズ色の薄い商品たち」だ。
その中で目を引くのがこの商品

Perfoma5400という一体型で、ラインナップの中ではもっとも初代マックに近いハズ。
だが、このルックスはいかがなものだろう。
トランスフォーマーか、ガンダムか。。。
まるでスティーブの嫌っていた死んだ魚のような日本製のパソコンみたいだ。
彼が復帰して、もらったマックを窓から投げ捨てたという伝説も頷ける。
 
彼はとことんこだわる人とか、怖い人とか言われるがプロなら当然だろう。
ダンサーのカバちゃんだって、華道の假屋崎さんだって、自分の仕事している時はこだわるし部下に怖い。
ボクもこだわるし、その時だけはたぶん怖い。お客さんに実は怖いでしょって言われたことある。いつもはにぎやかですよ(笑)
 
また脱線してしまった。
何が言いたいかというと、まず1998年のこの商品を見ていただきたい。

誰でも知っているiMac
これが1998年に発売されている点と、さっきのトランスフォーマーとよく見比べてほしい。
 
これぞ彼の真骨頂だと思った。
ユーザーエクスピリエンスの実現!
 
フロッピーとか、いらなものは取っちゃって、わくわくする丸みを帯びたデザイン。
技術的にはトランスフォーマーとどっちこっちない。たぶん多くは流用されているだろう。
違いは、スペックではなく、この筐体にお金を投下するセンスと情熱だ。
このような筐体だと、金型に相当なお金がかかっているハズだ。
私も昔、仕事で金型の値段を知る機会があったが、“丸み”と“大きい”が金型の値段が跳ね上がる要素。
デザイン料抜きで推定1億円ぐらいじゃないかな。
当時の家電のテレビでさえ、こんなデザインなかった。たぶんコストダウンしか考えていないから。
 
四角いコンピュータでも、テレビでもない新しいもの。それがiMacか。。。
でも初代マックもデスクトップ(机)にちょこんに置けるものという似たコンセプトでしたよね。
ユーザーエクスピリエンスにお金かけるデシジョンができるのが彼で、できないのが彼以外。
やっぱり、スティーブ・ジョブズがいなくなって約10年経った、1996年末の経営陣にはもはやスティーブ・ジョブズのゲノムは残っていなかったのではないかなと思う。
これから10年経ったらどうなっているんだろう。。。
MaciPhoneも死んだ魚になっているのだろうか。。。
とか想いながらスティーブを懐かしむ。